「大腸がんの初期と医師から診断されました。治療で完治するでしょうか?」
「大腸がんの「ステージⅣ」と診断されました。治療法を詳しく教えてください。」
「大腸がんで抗がん剤治療をすると、がんは完治するのでしょうか?」
医師から大腸がんと診断された方の中には「治療で完治するの?」「どんな治療法を選べばいいの?」と迷われ、今後の治療について、ご自身の身体の状態についてなど、さまざまなことで不安になる方もいるのではないでしょうか。
私は、大腸がんではないですが、2018年の残暑厳しい9月に「右肺腺がん」と診断され、その後2019年の暮れまで、「抗がん剤」「化学療法」「放射線」といくつもの治療をおこない、現在は経過観察となっています。
そこで今回の記事では、大腸がんと診断され、これから治療をおこなう方や、まだ、大腸がんと診断はされていないが、これから先、大腸がんと診断されたときの備えとして治療法について詳しく知りたいと考えている方にのために、「大腸がんの治療法」について詳しく解説しようと思います。
この記事を読めば「大腸がんの治療法」について、大腸がんと診断された方も、まだ診断はされていないけど、
もしもの時に備えておきたいと考えている方も「大腸がんの治療法」の必要な情報を詳しく知ることができます。
大腸がんとは?
【大腸がん】についてお伝えする前に【大腸がん】が発生する【大腸】について少しだけお伝えさせていただきます。
【大腸】は口から入った食べ物を消化吸収する「小腸」から続いていて、お腹の中を、右の下腹部から時計回りにぐるりと回り、肛門につながっています。
長さはおおよそ1.5mから2mほどで、右下腹部にある「盲腸」からはじまり、右回りに回りながら、お腹を右から左に横断する「横行結腸」につながります。
そして、そのまま左下腹に続くように「下行結腸」へつながり、次は、肛門に向かってS字を描くように「S状結腸」へ、そのS状結腸から肛門に向かう最後の器官である「直腸」につながり、直腸から「肛門」へとたどり着きます。
これが【大腸】の構造になります。
【大腸がん】は「結腸」と「直腸」に発生する【がん】で、腺腫という良性のポリープが時間の経過とともに、【がん】に形を変えるものと、正常な粘膜から直接発生するものの2つがあります。
大腸の内側の粘膜に発生した【大腸がん】は時間の経過とともに、大腸の外まで広がり、大腸の中を走っている【リンパ液】や【肝臓】などに転移する場合もあります。
大腸がんの症状
大腸がんは、発症しても早期の段階では、自覚できるような症状はほとんどあらわれませんが、便が残る感覚がでたり、腹痛や貧血、腸閉塞などの症状があらわれることもあります。
これは、大腸のどの部位に、どの程度の大きさで「がん」があらわれるかによって異なってきます。
大腸の右側に「がん」ができた場合(盲腸がんや横行結腸がんなど)では、「がん」がある程度の大きさになるまで、症状があらわれにくく、「しこり」として自覚する場合や、腹部の膨満感や、慢性的に出血が続くことによる「貧血」があらわれる場合もあります。
その一方で、大腸の左側に「がん」ができた場合(下行結腸がんやS状結腸がんなど)では、血便や、便秘、下痢などの症状があらわれる場合があります。
大腸がんの「ステージ(病期)」について詳しく解説します
【大腸がん】に限らず、「がん」の症状の進み具合は「ステージ」と表記されます。
【大腸がん】での「ステージ」を決める目安は、「がん」が大腸の内側の壁の中に、どれぐらい深く浸透しているのか、また、大腸以外の部位である「リンパ節」にどれぐらいの数「がん」が転移しているのか、さらに、大腸以外の臓器(肝臓や肺など)にどれぐらい転移しているかによって決まります。
この「ステージ」は、「大腸がん」の症状の進み具合が最も低い状態を「ステージ0」と呼び、「大腸がん」の症状がもっとも進んだ状態を「ステージⅣ」と呼び、この「5段階」に分類されています。
このステージは、大腸がんの治療に入る前の精密検査や、画像診断などの結果から医師が判断し決められます。
もしもあなたが【大腸がん】と診断されたなら、自分の「ステージ」はどこなのか知り、そして自分の「ステージ」ではどんな治療がされるのか、どんな治療をすればよいのか、しっかりと理解することも【大腸がん】の治療をする上では、とても大事なことです。
では、次からその【大腸がんのステージ】ごとの症状がどのようなものなのか解説してみようと思います。
大腸がんの「ステージ0」はこんな状態です
大腸に発生した「がん」が大腸の内側にある壁のもっとも内側の「粘膜」にとどまっている状態の場合、医師より「ステージ0」と診断されます。
大腸の内側にある壁は、もっとも内側から「粘膜」「粘膜筋板」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜下層(しょうまくかそう)」「漿膜(しょうまく)」という6つで構成されていて、この「ステージ0」は大腸の内側にある「壁」の最も表層にあらわれた最初期のがんです。
※大腸の構造・大腸壁の構造
引用元:がん情報サイト
大腸がん(結腸がん・直腸がん)について
大腸がんの「ステージI」はこんな状態です
大腸の内側にある「壁」のもっとも内側に「粘膜」という層があります。その「粘膜」の表層に「がん」があらわれた状態が「ステージ0」という状態であると先ほどはお伝えしました。
「ステージⅠ」の状態は、「粘膜」の表層よりもやや深い位置である「粘膜下層」という層まで「がん」が浸透している状態です。
大腸がんの「ステージⅡ」はこんな状態です
大腸の中にあらわれた「がん」が、大腸の内側にある壁の深い位置にある「固有筋層」の外まで浸透している状態が「ステージⅡ」です。
大腸の内側の壁の外まで「がん」が浸透していても、まだ、この段階では、大腸以外の内臓やリンパ節などへの転移はありませんが、この状態から「がん」がさらに進行すると、他の臓器やリンパ節への転移が進む段階でもあります。
大腸がんの「ステージⅢ」はこんな状態です
「ステージⅢ」の状態は大腸の内側に「6つの層で構成された壁」の下層に位置する「固有筋層」の外まで「がん」が浸透し、大腸の周辺にある「リンパ節」への転移が認められる状態です。
このようなリンパ節への「がん」の転移がさらに進行すると、リンパ節から他の臓器への転移が進行する可能性もあるのがこの「ステージⅢ」の状態です。
大腸がんの「ステージⅣ」はこんな状態です
「大腸がんのステージⅣ」は大腸内に発生した「がん」が大腸の壁から外へと広がり「肝臓」や「肺」、
「腹膜への播種」が認められた状態を指します。
腹膜への播種とは?※
引用元:東京大学
胃癌・腹膜播種に対する腹腔内化学療法
この「腹膜播種」という状態では、胃や腸などの臓器の内側を覆っている薄い膜である「腹膜」に「がん」が転移した状態です。「がん」が腹部に散らばるように広がった状態で、かなりの広範囲にわたっての転移が認められる場合もあるようです。
大腸がんの「ステージ(病期)」ごとにおこなわれる治療法
【大腸がん】を治療する際には、先ほどお伝えした「ステージ(病期)」が基準となります。
治療のメインとなるのは「開腹手術」などの「外科手術」です。がんが早期発見され、症状に転移などが見られず、がんの大きさも軽度の場合には「内視鏡治療」がおこなわれる場合もあります。
がんが大腸以外の「肺」や「肝臓」などへの転移がある場合や、リンパ節などへの転移が広範囲にわたっている場合には、化学療法や放射線治療をおこない、ある程度「がん細胞」を縮小してから「外科手術」をおこなう場合もあります。
そこでここからは【大腸がんのステージ(病期)】によっておこなわれる治療法について詳しく解説してみようと思います。
「ステージ0」「ステージⅠ」での治療法
大腸に発生した「がん」が「ステージ0」や「ステージⅠ」という状態であるとき、治療法は「内視鏡治療」が選択されます。
※「内視鏡治療とは?」
引用元:がん情報サイト
「内視鏡治療とは」
「ステージ0」や「ステージⅠ」の状態では、大腸の中で発生した「がん」は、大腸の中の壁の最も内側にある「粘膜」の表層にとどまっている状態で、リンパ節や大腸以外の臓器への転移も見られないので、切開する範囲が小さく済み、患者への負担も少ない「内視鏡治療」で「がん」を切除します。
この「内視鏡治療」では、細長い棒状の医療機器を肛門から体内に挿入し、大腸の内側に発生した「がん」を切りとります。
切り取った「がん細胞」は手術後に検査などがおこなわれます。転移や再発の可能性も調べられ、必要に応じて追加で外科手術がおこなわれる場合もあります。
※大腸の構造・大腸壁の構造
引用元:がん情報サイト
大腸がん(結腸がん・直腸がん)について
「ステージⅡ」「ステージⅢ」での治療法
「ステージⅡ」「ステージⅢ」での治療法では、基本となる治療法は「手術治療」です。
※手術治療について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療
先ほどお伝えした「ステージ0」や「ステージⅠ」の状態は、「がん」が大腸の中の壁の内側の最も表層である「粘膜」にとどまっている状態ですが、「ステージⅠ」の状態でも「粘膜」よりも深い位置である「粘膜下層」という位置まで「がん」が深くなっている場合には「手術治療」により「がん」を切除します。
大腸の中のがんを切除する際、大腸のまわりにある「リンパ節」へがんが転移している場合もあります。そのような場合は、リンパ節を切除する場合もあります。
手術後は、再発を予防するために「抗がん剤治療(術後補助化学療法)」や「放射線治療」をおこなう場合もあります。
※「抗がん剤治療」について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る
※放射線治療について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
放射線とがん医療の関係
「ステージⅣ」での治療法
「ステージⅣ」での治療では、基本手術による「がんの切除」が基本となりますが、「がん」が大腸以外の臓器やリンパ節などへの転移が広範囲にみられる場合などでは、手術ができない場合もあります。
そのような場合には、抗がん剤をつかった化学療法や、がんに放射線を当てて、がん細胞を縮小させる「放射線治療」などがおこなわれます。
こういった、放射線治療などによって、がんがある程度小さくなった場合には、手術によってがんの切除がおこなわれる場合もあります。
がんの進行が進み、治療による治癒が困難と医師から判断される場合もあり、そのような場合には、がんによる痛みの緩和などが主となっておこなわれる場合もあります。
大腸がんの治療法についてもう一度整理してまとめてみます
大腸がんに限らず、発生した【がん】への適切な治療をおこなう際には、【ステージ(病期)】が基準となります。
この【ステージ(病期)】とは、【がん】の症状がどれぐらい進行しているかを表す目安となるものです。【大腸がん】の治療をする際には、この【ステージ(病期)】によって治療法に違いがあります。
【ステージ0】や【ステージⅠ】では、大腸の中にあらわれた【がん】は、大腸の中の壁の表層に見られる程度で、大腸以外の臓器やリンパ節への転移もほとんど見られない状態です。
この状態では、【がん】の範囲も小さいので【内視鏡】での切除が選択されます。ですが、【がん】の発生した部位や大きさなどによっては、手術(外科治療)が選択される場合もあります。
※「内視鏡治療とは?」
引用元:がん情報サイト
「内視鏡治療とは」
※手術治療について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療
【ステージⅡ】や【ステージⅢ】は、大腸以外への臓器やリンパ節への転移の疑いもある状態なので、治療は【手術(外科治療)】が選択されます。また、手術後に再発の可能性が懸念される場合には、化学療法がおこなわれる場合もあります。
【ステージⅣ】は、【がん】が大腸以外にも、肝臓や肺、リンパ節などへの転移。また腹膜への播種も認められる状態で、手術で【がん】を完全に切除することは困難なケースが多く見られ、多くの場合【抗がん剤治療(化学療法)】や【放射線治療】が選択されます。
※「抗がん剤治療」について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る
※放射線治療について詳しく解説します。
引用元:がん情報サービス
放射線とがん医療の関係
この【抗がん剤治療(化学療法)】や【放射線治療】をおこなったことで【がん】の縮小を認められた場合には
あらためて、手術による【がんの切除】をおこなう場合もあります。
ただ、がんの進行が進み、かんに羅漢したご本人が手術や放射線治療などに耐えることが困難になってしまった場合には、治療ではなく、症状を和らげる処置や治療が優先されます。
このように【大腸がん】の治療では、基本は【手術(外科治療)】が主となり、症状の進行によって、化学療法や放射線治療をおこなうといった、この3つが治療の柱となります。
今回、この記事でお伝えした内容を理解していただくことで、今現在【大腸がん】の治療と向き合っている方、そして、【大腸がん】への不安を抱いている方に、ご自身の状態によってどのような治療法があるのか、そしてどのような治療法を選択できるのか、参考としていただければ幸いです。