・【大腸がん】の「ステージⅢ」と診断されました。医師から「抗がん剤治療」をすすめられましたが、この治療法で【大腸がん】を根治することができるのでしょうか?
・大腸の検査をしたところ、ポリープが見つかり、医師から「初期の大腸がん」と診断され、手術をおこなうこととなりました。手術後にがんが再発する可能性はありますか?
・食道がんの治療は長期化する事がありますが、治療をしているご本人やご家族が、治療の内容を理解されていないケースがまれに見られます。
治療をされるご自身、そしてご家族が、治療の内容を理解し、納得したうえで治療をされることはがんの治療において重要なことです。
なぜこのようなことをお伝えしているかと言うと、私自身が数年前に【肺腺がん】を患い、医師や家族、たくさんの方たちの支えもあって、現在は経過観察となっています。
私は治療中、医師に、治療の内容などについて何度も説明を求めました。そして医師はその質問に対し、私や家族が納得できるまで説明をしてくれました。そのおかげで、私は治療に対し、何の疑問も持つことなく治療を続けることができました。
そこで、今回はこの記事で、【食道がん】ではどのような治療法があるのか。【食道がん】の状態によってどのような治療が選択されるのか。初期の段階ではどのような治療法があり、がんが進行した状態ではどのような治療方法があるのか、その治療はどれぐらいの期間続くのかなど【食道がん】の治療法について解説します。
この記事を読んでいただくことで、【食道がん】の治療について、治療方法や治療期間、効果や副作用など【食道がん】の治療についてより詳しく理解していただくことができますので、ぜひ記事の最後まで読みすすめてください。
【食道がん】になるとこんな症状があらわれます
食道がんを発症しても、初期の段階では自覚できるような症状があらわれない場合が多く見られます。
ですが、「がん」の進行が進むにつれて「食道が狭くなる」「食事をしたり、飲み物を飲むとつかえるようになる」また「食べ物などを飲み込んだときに違和感を感じる」などの症状があらわれるようになります。
この他にも「体重が減少する」「胸や背中に痛みがあらわれる」「咳が続き、声を発するときにかすれるようになる」などの症状もあらわれます。
このように食道がんでは、初期の段階では、「がん」に羅漢しているのに自覚できるような症状が無いために、症状を自覚できるようになったときには、「がん」が進行した状態になっている場合もあります。
【食道】の役割について詳しく解説します
先ほどは【食道がん】について、食道がんを発症すると、どのような症状があらわれるのか、ご紹介しましたが、ここでは【食道】という器官が日々私たちが生活するうえでどのような役割をしているのかご紹介してみようと思います。
【食道】は私たちの【胃】と【咽頭(のど仏回り)】をつなぐ臓器です
私たちの【食道】は、食べ物や飲み物を飲みこむときに重要な役割をする【咽頭(のど仏回り)】と
【胃】をつないでいる細長い管の形をした臓器です。長さは約25㎝ぐらいで、太さは2~3㎝です。
食道が配置されている大部分は胸の中にありますが、一部は首と腹部にもあります。身体の中心部を通っていて、心臓と肺、大動脈に囲まれた位置にあります。
参考文献:1)食道のつくりとはたらき
引用元:食道がん一般の方用サイト
口から近い位置から【頸部食道(けいぶしょくどう)】次に【胸部食道(きょうぶしょくどう)】そして、胃にもっとも近い位置にある【腹部食道(ふくぶしょくどう)】という3つの部位に分かれています。
私たちが食べ物や飲み物を飲み込むと、食道の壁が動くことで、食べ物や飲み物を胃に送り込んでくれます。この食道の内側は4mmの壁で形成されていて、内側の壁は粘膜上になっていて、扁平上皮と呼ばれる上皮で覆われています。
【食道がんの治療法】は「ステージ(がんの進行度合い)」で決定されます
食道がんに限らず【がん】の治療法は【ステージ(がんの進行度合い)】によって決定されます。
この【ステージ(がんの進行度合い)】は、発病早期の段階から、病状が進行するにつれて、0期(一般的にはステージ0と呼ばれることがほとんどです)からⅣ期(一般的にはステージ4と呼ばれることがほとんどです)と、診断した医師によって決められます。
この【ステージ(がんの進行度合い)】は、食道内にできた【がん】がどのぐらいの深さまで達しているかをあらわす「T因子」と、【がん】が食道のまわりにある「リンパ節」のどれぐらい転移しているかを示す「N因子」
そして、食道以外の他の臓器への転移の有る無しを示す「M因子」という3つの因子の組み合わせによって決められます。
※画像 食道がんの深達度
※画像 食道がんのT・N・M各因子の「分類
画像引用元:東京医科大学病院
食道がんの病期と治療
食道がんの病期と治療|食道がん -西新宿の地で がんに挑む- 東京医科大学病院 (tokyo-med.ac.jp)
このように、食道がんの治療法を決定する際の指標となるのが【ステージ(がんの進行度合い)】です。
そして、この【ステージ】を決定する際には、がんがどの程度の深さまで浸透しているのか、リンパ節や他臓器への転移は有るのか無いのかなどから判断されますが、実際に、発症したご本人やご家族に医師から【ステージ】が告げられる際には、T因子やM因子などといった呼称で告げられることはあまりありません。
がんの広がり方や、転移の度合いなどから、発症の初期段階であれば【ステージ0】や【ステージⅠ期】、ある程度、がんが進行してしまった状態で、他臓器やリンパ節などへの転移も見られる状態の場合には【ステージⅢ期】や【ステージⅣ期】と告げられることがほとんどです。
では、ここからは、各ステージごとにどのような治療法が選択されるのか、治療法の具体的な内容などについて解説していきます。
食道がんの【ステージ0期・ステージⅠ期】はこんな状態です
【ステージ0期】の状態は、食道内にできた【がん】がまだ、食道の内側にある「粘膜内」にとどまっている状態です。
食道は最も内側には「粘膜」があり、粘膜を超えると「粘膜下層」、そして食道の最も外側の部位は「固有筋層(筋肉の層)」があります。
※参考サイト:食道がん一般の方用サイト
引用記事:食道とは?食道がんとは?
1)食道のつくりとはたらき
この【ステージ0期】の状態では、【がん】が食道以外の臓器やリンパ節への転移が起こることは、ほぼありません。対して【ステージⅠ期】では、【がん】が「粘膜の内側」から奥にすすんだ個所の「粘膜下層」まで浸透した状態です。
この状態ではまだ、【がん】は粘膜内にとどまっていて、他の臓器やリンパ節への転移はほぼ見られません。
食道がんの【ステージⅡ期・ステージⅢ期】はこんな状態です
先ほど【ステージ0期・ステージⅠ期】での食道がんの状態についてご説明しましたが、この2つのステージでは、まだ【がん】は食道の内側の最も表面の部位である「粘膜内」にとどまっている状態であるか、もう少し【がん】が粘膜の先の「粘膜下層」まで達している状態です。
この状態では、【がん】が食道以外の臓器やリンパ節への転移はほぼ見られない状態です。対して、【ステージⅡ期・ステージⅢ期】では、食道の粘膜下層からさらに【がん】が食道の粘膜の奥まで
浸透した状態です。
【ステージⅡ期】では、粘膜下層から食道の最も外側の部位である「固有筋層(筋肉の層)」まで【がん】が浸透した状態です。さらに【ステージⅢ期】では、【がん】が食道の外まで浸透し、食道以外の臓器やリンパ節まで広がった状態になってしまいます。
食道がんの【ステージⅣ期】はこんな状態です
先ほどまでご説明してきた【ステージ0期・ステージⅠ期】や【ステージⅡ期・3期】では、「がん」が食道内にまだ、とどまっている、もしくは、食道から他の臓器やリンパ節への転移が認められる状態であるとお伝えしました。
これからご説明する【ステージⅣ期】では「がん」が食道から、周辺組織や他の臓器、リンパ節など、広範囲に
わたって広がっている状態です。
外科手術では「がん」を切除することが困難な場合が殆どで、生存率(2~3年)の割合も、おおよそで2割から3割程度とも言われています。
食道がんのステージごとにどんな治療がおこなわれるのかをご紹介します
先ほどまで、食道がんの治療に関連する内容として、大きく2つのことをお伝えしてきました。
1つは、医師から食道がんと診断されると、食道にできた「がん」の大きさや転移の範囲によって【ステージ(がんの進行度合い)】というものを告知されること。
そして2つめは、この【ステージ(がんの進行度合い)】には「がんの進行度合い」によって、【ステージ0期】【ステージⅠ期】【ステージⅡ期】【ステージⅢ期】【ステージⅣ期】に分けられ、【ステージ0期】は早期、初期段階、【ステージⅣ期】では「がん」が食道以外の臓器やリンパ節へ転移が見られる状態であること。
この2つについてお伝えしてきましたが、ここからはこの【ステージ0期】から【ステージⅣ期】までの
5つの【がんの進行度合い】ではどのような治療法が選択され、実際におこなわれる治療の内容について
ご紹介します。
食道がんの【ステージ0期・ステージⅠ期】で選択される治療法
【ステージ0期】の状態にある食道がんに対して選択される治療法は、治療後に食道への負担が少ない「内視鏡切除」が選択されることがほとんどです。
これは【ステージ0期】は、「がん」が食道の内側にある「粘膜」の表層部分にとどまっている状態で、さらに、食道以外の他臓器やリンパ節への転移もほぼ見られないことから、術後に負担が少ない「内視鏡切除」という治療法が選択されるのです。
内視鏡切除の詳しい解説はこちらの記事を参照してみてください
参考文献:1.内視鏡治療とは
引用元:がん情報サービス
【ステージⅠ期】の状態にある食道がんに対して選択される治療法は「手術」による治療が選択
されることが殆どです。
これは、「がん」が食道の内側にある「粘膜」にやや浸透した位置である「粘膜下層」にとどまっている状態であるため、手術(外科手術)のよって「がん」を取り除き、根治を目指すことができるからです。
また、手術前の検査によって、「がん」が粘膜の深い位置にあると医師が判断した場合には、手術に加えて「放射線治療」などの「化学療法」がおこなわれる場合もあります。
食道がんへの放射線治療の効果について
参考文献:食道がんの放射線治療について
引用元:県立広島病院
食道がんの【ステージⅡ期・ステージⅢ期】で選択される治療法
【ステージⅡ期】の食道がんには「化学療法」と「手術」の2つを併用する治療法が選択されることがほとんどです。
この状態では、後に解説する【ステージⅢ期】と共通するのですが、まず「がん」がどれぐらいの範囲にわたって広がっているのかを検査によって調べます。その結果によって、医師が手術(外科手術)のみで治療をおこなうのか、手術を行う前に「放射線治療」などの「化学療法」をおこなうのかを選択します。
【ステージⅡ期】の食道がんは、「がん」が食道の最も深い層まで浸透し、食道の周辺にある「リンパ節」へ転移が起きている状態です。
食道内の深い層まで浸透した「がん」の大きさや、リンパ節への広がり方によって、「手術」で「がん」を切除する前に「放射線治療」などの「化学療法」によって「がん」をある程度縮小させた状態で「がん」を切除するほうが手術による負担を少なくすることができるからです。
【ステージⅢ期】の食道がんでは、治療法の基本は「放射線治療」や「化学療法」がメインの治療法となります。
【ステージⅢ期】の食道がんは、食道周辺にある他の臓器や組織にまで広がっている状態で、さらに、切除が困難な部位である「大動脈」や「心膜」などへの転移がある状態です。
この状態では、まず、「がん」を「放射線治療」などの「化学療法」によって「がん」を縮小させることが優先されます。その後、医師が手術で「がん」を切除可能と判断した場合には手術による治療が追加でおこなわれます。
ですが、がんを発症されている方が、手術による体力の消耗に耐えられないと医師が判断した場合や
本人が手術による治療を希望しなかった場合には、「放射線治療」などの「化学療法」のみで治療がおこなわれます。
食道がんの【ステージⅣ期】で選択される治療法
【ステージⅣ期】の食道がんでは「放射線治療」などの「化学療法」が治療法として選択されます。
これは【ステージⅣ期】の食道がんが、食道周辺にある他臓器やリンパ節、さらに手術が困難な組織である「大動脈」や「気管」「心膜」「横隔膜」などへの転移がある状態にあるからです。
この状態では、手術によって「がん」を取りのぞくことが困難であり、さらに手術による身体への負担も大きく、手術を行うことによって起こるリスクが高いために、医師は「放射線治療」などの「化学療法」が治療法として選択します。
また【ステージⅣ期】では「末期がん」の状態にある場合もあり、そのような場合には治療も、「がん」の縮小や根治を目指す目的ではなく、痛みなどを緩和する治療が主となる場合もあります。
ここまでお伝えした【食道がん治療】について最後にまとめてみます
今回、この記事では【食道がん】を発症した時の「治療法」について詳しく解説してきました。また、治療法とあわせて【食道がん】を発症した際にあらわれる症状や、症状によって選択される治療法などについても解説してきました。
【食道がん】を発症してしまったときに選択される治療法は大きくわけて【3つの治療法】となります。
⒈手術による治療法
食道内にあらわれた「がん細胞」を切除(外科手術)によって取り除く治療法です。症状が進行して、
食道以外の組織や臓器、食道周辺のリンパ節などへ転移した「がん細胞」を取り除く際にもおこなわれる治療法です。
⒉化学療法による治療法
手術後に新たに「がん」の転移がおこらないよう、抗がん剤を用い、再発予防としておこなわれる治療法が「化学療法」という治療法です。
また、この他にも、「がん細胞」の転移の範囲が広範囲にわたっている場合や、がん細胞がかなり大きくなっていて手術によって切除することで、患者への負担が大きいと医師が判断した場合、抗がん剤によって、ある程度
「がん細胞」を小さくしてから、手術によって「がん細胞」を切除する場合もあります。
化学療法についての詳しい解説はこちらの記事を読んでみてください
参考文献:放射線治療とは
引用元:食道がん一般の方用けサイト
⒊内視鏡による治療法
発症が初期で、がん細胞の大きさや範囲が小さい場合に、「内視鏡」という、細長い棒状の医療機器を用いて
食道内にあらわれた「がん細胞」を切除します。この治療法は【食道がん】の発症初期の段階で多く選択されます。
内視鏡についての詳しい解説はこちらの記事を読んでみてください
参考文献:⒈.内視鏡治療とは
引用元:がん情報サービス
このように【食道がん】の治療法は大きく分けて「3つの治療法」がありますが、これ以外でも、がんの進行が進み、「末期のがん」と診断された場合には、治療よりも、痛みや症状を緩和する方法が選択される場合もありますし、また、発症が初期の段階でも、医師が根治を目指すために外科手術を選択する場合などもあります。
食道がんに限らず、がんを発症してしまったら、医師が選択した治療内容を、治療を受けている本人やご家族が
しっかりと理解することが大事です。
がんの治療は長期間にわたる場合もありますので、治療を受けるご自身やご家族が医師から提示された治療内容をしっかりと理解し、疑問点などがあった場合には、その都度、理解できるよう医師から説明を受け、理解納得する。このようなことも、がんの治療をおこなううえではとても大切なことです。
また、総合病院や大学病院などには、「がん治療」についての相談窓口を設けている病院もありますので、
治療内容などについて不安がある場合には、そういった場所を活用してみることもおすすめします。
今回ここまでお伝えした内容が、これから【食道がん】の治療を受ける方や、また【食道がん】への不安を抱えている方にとって参考になれば幸いです。