第4のがん治療『ハイパーサーミア』導入医院 – 相武台脳神経外科 – 加藤貴弘院長にハイパーサーミアの詳しい治療内容などを伺いました。

ハイパーサーミア

SP体に負担の少ないがん治療法といわれている『ハイパーサーミア』。以前は放射線治療と併用の場合のみ健康保険が使えましたが、温熱治療単独でも効果が認められることから1996年より単独使用でも健康保険が使えることになりました。医院の移転に伴い専用の治療室を設けハイパーサーミアの治療機器を導入された相武台脳神経外科(神奈川)の加藤貴弘院長に、ハイパーサーミアの治療についてお話を伺いました。

ハイパーサーミアの治療内容について

相武台脳神経外科 加藤貴弘院長

— 体に負担の少ないがん治療法といわれている『ハイパーサーミア』とは、どういった治療を行うものなのでしょうか?

『ハイパーサーミア』は第4のがん治療と言われてまして、今まで保険診療では抗がん剤(化学療法)・手術治療・放射線治療という治療が三本柱としてあったのですが、それを補足するような4番目の保険診療の一つとして、ハイパーサーミアという治療が今現実に行われています。しかし、一般的にはあまり知られていない治療ではあります。

— なぜ、あまり知られていない治療法なのでしょうか?

 あまり医師の間でも認知がされてないという事があるのですが、それはハイパーサーミアで使用する治療機器自体が高額なものなので、普及するのに時間が掛かっているという事が原因ではないのかと思います。

 私自身は患者様の目線からすると有用だと考えています。有用だと考える一つのポイントが、まず患者様が現在行っている治療を妨げない、今の治療とバッティングするようなものではないので、今の治療もしつつハイパーサーミアのプラスアルファを付け足すことが可能ということ、単純に付け足すだけではなく、現在の治療の効果をある程度増強させることにもなりますし、抗がん剤治療や放射線治療などの副作用を軽減させるという作用もあるのではないかというのが、手応えとして感じております。

— かなり大型の治療機器を使用して行う治療のようですが、この治療機器を使ってどういったメカニズムで治療が行われるのでしょうか?

 メカニズムとしては、一般の正常細胞よりも癌細胞の方が、熱に対する弱さがあるということで、正常細胞では耐えうる熱だけども癌細胞では、細胞死に至ってしまうような熱の温度で温めてあげるとがん細胞の数が減ってくる、というような事が考えられています。

 大体患部を42~43℃まで温めるとがん細胞への効果が期待できるのですが、だからといって全身に40℃を超える熱を与え続けた場合、患者さんの全身への負担が大変大きく、本気でやろうとすると全身麻酔で管理するような状況になってしまいます。ハイパーサーミアでは電磁波を使って、できるだけがん細胞の周囲だけを高温にするというメカニズムになっています。体表は冷やしながら、体の中の腫瘍細胞の周辺に熱が行くような仕組みになっていて、徐々に患部の温度を上げていき治療を行います。

治療を行う上での注意点など

2020年10月に新築のビルに移転され、医院内はとても綺麗で温かみのある印象。

— 治療を行う中で、副作用のようなものはあるのでしょうか?

 ハイパーサーミアの副作用としては、熱で温めるので、治療されてる間に皮膚がピリピリとする熱さを感じることがあります。そういう時は外皮膚を冷やしながら行いますが、あまりにも我慢できないようであれば、耐えうるところまでの温度までにします。その場合でも効果があると考えています。

 また、皮膚の下に脂肪が多いと脂肪が硬くなる脂肪変性という症状によって痛さを覚えることがあるのですが、それも通常であれば一週間ほどで痛みが消えます。

 あとは、熱するので脱水状態にならないように、治療前と治療後にしっかりと水分を取って行うということで、イメージとしては温泉を使った湯治療法の延長線で「局所的に温める」というイメージでいいと思いますし、副作用としては温泉に入る時の副作用を考えていただけたら良いのではないかと思います。

— がんの進行度合いなどに関係なく治療を受ける事ができるのでしょうか?

 全身状態や呼吸状態などが悪く、血圧変動が大きいといった状態でなければ治療可能だと考えています。温泉に入れるような方であれば、治療はしんどくなく、胸部にあてる必要はある場合は、熱を出す装置が少し当たるので息苦しく感じる方もいるのですが、その場合は様子を見ながら呼吸の仕方を変えてみたり、横で話しかけたり、アロマの香りでリラックスして頂くなど、気を紛らわせるような方法で対応しています。

— 治療に適しているがんの種類や、治療が受けられないがんの種類などはあるのでしょうか?

 このハイパーサーミアというシステム自体が、全身の体温を上げのではなく局所的に加温するというものなので、適したがんというと、白血病などの血液のがんというよりは、腫瘤の塊になってるような固形がんをターゲットにしています。目や頭の中は頭蓋骨があり、効果がはっきりとしていないので、頭蓋骨内のがんに対しては当院では適用外とさせて頂いています。

治療を受ける期間やペースについて

専用の治療室に、最新の高周波式ハイパーサーミア治療器が導入されていました。

— どのくらいの期間、どのくらいのペースでハイパーサーミアの治療を行う必要があるのでしょうか?

 保険診療で行う場合は、一連の治療は大体二か月くらいです。一度、熱を与えると、ヒートショックプロテインという熱から細胞を守ろうとするタンパク質ができるので、今日やったから明日もやる、という事をすると、次の時はそんなに効果がありません。ヒートショックプロテインがあると、がん細胞も熱に対して強くなってしまっているので、一回ハイパーサーミアをされたら、当院では通常一週間ぐらいの期間は開けるので、二か月で大体8回くらいのペースで行う事になります。

 ゆっくり温めていくので、半年から1年ぐらいの期間、保険治療が切れたら基本的には自費診療という形になってしまいますけれど、それぐらいの期間とペースでやっていくのが、理想的ではないかとは思うのですが、保険診療の期間だけでもがん細胞を縮小させたり、勢力を弱くさせたりする事ができるので、放射線治療や抗がん剤といった3大治療をしながらハイパーサーミアを平行させていくというような考え方が良いのでは、と私たちは考えています。

 この治療自体が、手術でがん細胞の塊を綺麗に取るとか放射線の放射線エネルギーでがん細胞を減らしていくとか、抗がん剤で全身的に癌の細胞の活動性を減らしていくという治療と比べると、マイルドにがん細胞の力を弱めていくものなので、シャープではないですが確実にその後の体の調子は良くなる、という体感は得られると思いますし、それを得られる事ができたら続けるという考え方で、まず始められて良いのではないかと思います。

脳神経外科の医院としてハイパーサーミアの治療を行う目的とは?

小田急線の相武台前駅から徒歩4分(250m)という立地で、通院もしやすい。

— 脳神経外科を専門としている医院で、がんの治療を目的としたハイパーサーミアを導入するに至った経緯などをお聞かせください。

 当院の目的というのが基本的には脳卒中予防ということからスタートしていて、脳卒中というのは生活習慣病であることがほとんどなので、生活習慣病を予防するということで患者さんと試行錯誤しながら生活習慣を変えて行くにはどうしたらいいか、というのを日々模索してきました。その中で、通常のがんも生活習慣病という側面があり、生活習慣病を取り扱う当院でも、生活習慣によるがんに対しての何かしらのアプローチができるのではないかと考えました。

 生活習慣病のベースになる「体質」から動脈硬化、そこから血管が詰まったり動脈瘤になったり、あるいは認知症やがんになったりと、体質改善が生活習慣病予防の大きなポイントになってくるのですが、今の保険診療では体質改善という部分に対して、保険点数がほぼかけられていないという状況もあり、今の医療は体質改善に目が向けられていません。そういった意味でも、体質改善というところを、当院では掘り起こしています。

 体質改善の一環として、高濃度ビタミンC点滴療法でのがん治療も含めて当院で行わせていただいている中で、保険診療で認められているハイパーサーミアというのが、体質改善と少し被るというところがあるにも関わらず、あまり脚光を浴びていないので、当院はそこをしっかり世の中に出していきたいと考えて、引っ越しを機に、ハイパーサーミアのシステムを導入しました。

 がん治療に関しても体質改善というのは、長期戦になればなるほど大切なポイントになります。氷山があって、上の山を崩すのが抗がん剤治療や手術治療・放射線治療なのですが、脳外科でいうと、例えばくも膜下出血があって動脈瘤をクリップする、あるいは脳梗塞になったときに血管を広げる手術をするなどにあたり、脳梗塞を治療したとしても、再び脳梗塞にならないようにする為には、脳梗塞になりやすい体質というのを変えていく必要があります。

 がんというのも、見えている部分のがんを取り除いたとしても、がんになりやすい体質というのは残っているわけなので、抗がん剤治療や手術治療で長期戦になればなるほど、ここに対してのアプローチというのがとても大切なポイントになります。長期戦ということ考えると、高濃度ビタミンC点滴療法というのも良いと思いますし、ハイパーサーミアも長期戦をサポートするツールとして良いと思います。

 今の医療の盲点となっている体質改善という部分をターゲットとする治療を私たちはプッシュしていきたい、ということで当院で取り扱わせて頂いています。


 

加藤先生にハイパーサーミアについてとても丁寧なご説明を頂いて、よく耳にするがん3大治療以外にも効果的な治療法があるのを知り、がん治療への見方が変わりました。他のがん治療と平行して行えるという点も、現在がんと立ち向かっている方の力強いサポートとなるのではないでしょうか。第4のがん治療といわれる「ハイパーサーミア」、興味をもたれたら下記へお気軽にお問い合わせ下さい。

相武台脳神経外科
https://soubudairelief.com/
〒252-0324 神奈川県相模原市南区相武台1丁目23−9
休診日:水曜・日曜・祝日
T E L:046-258-2728

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